「つなぐ_イエ」は、複数の住宅が連坦することで、まちを歩行公園化しようとする宅地開発です。自主自治をけん引する地域密着デベロッパー、敷地のシェアに価値を感じる住人、住宅と住宅の間を設計する建築家によって進められます。
高度経済成長期には、画一的な核家族像を理想とした大規模ニュータウンが数多く開発され、住まいをカタチつくる各要素を機能的に切分け、特化させることで、日本の住環境は物理的に向上しました。しかし、そのように開発された住宅地では現在、コミュニティの崩壊や、住民の高齢化が問題視されています。
本計画では、生活にまつわるモノ・コト・ヒトを<6つの手法>でつなぐことで、日本にかつて存在していた地域内での多様な関係性と、縮小する社会に求められる共助互助といった新しい自治システムの構築を目指しています。敷地境界周辺の共有化と公共化、緑地と住宅の一体化、共有歩行路、在来種を中心とした樹木の生態系のネットワーク、個性と一体感を生む壁面色、地域の気候とつながった温熱環境、マイクロパブリック(小さな公共)を担う地域住民。
「つなぐ_イエ」の計画範囲は限定されていません。この生き方に共感する人々が増え、この計画に参加していただくことで、この歩行公園ネットワークは徐々にまちに拡がっていきます。ここで実現されるのは、持続的で本質的な豊かさを持った、懐かしい未来です。
Data Sheet
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企画大里綜合管理株式会社(担当:石井俊晴)
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基本計画SUGAWARADAISUKE (担当:菅原大輔、上赤坂典幸、市村梓)
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植栽計画GAヤマザキ
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色彩計画CLIMAT
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実施設計大里綜合管理株式会社+SUGAWARADAISUKE
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施工大里綜合管理株式会社 (担当:石井俊晴)
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場所千葉県、日本
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設計期間2011.10 –
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工事期間2012.10 –
Prize & Media
2016日経アーキテクチュア 2016/01/14 (日経BP) / 日本