300年以上の歴史をもつ秋田県五城目町の福禄寿酒造が運営する地域拠点。本計画では、日本酒を醸す風景に埋め込まれた歴史と文化を継承し、この町らしい未来の風景を発信する地域拠点です。
複数回の増築で複雑化した既存建物を減築し、三角庇と開閉するビックドアによるmicroスケールの増築を行うことで機能性と耐震性を確保しました。極寒期に風除室として機能するこの半屋外空間によって、表通り-裏庭-酒蔵-朝市通りをつなぎ合わせる歩行ネットワークと賑わいをつくりました。
室内の設計では、既存の木下地や欄間、使いこまれた建具や家具などと、新設される部材や素材を一体的に扱うことで、時間の中で成熟された価値とこれから積み重ねられる価値が同居するデザインを目指しました。新設された開口とテラスからは、町の象徴である森山を望むことができます。
「HIKOBE」は、酒の販売や試飲だけでなく、地域文化の展示や発信、まちのリビングルームとして、開かれており、町内外の老若男女が自由に集い、留まることができます。この場所は、歴史と未来、地域内外、モノ・コト・ヒトがつがなる、交流型の新しい公共空間です。
micro public networkとは、100㎡程度の小規模拠点を広域に点在させ、様々なイノベーションと共にネットワークさせる手法です。それは段階的な開発と小規模な投資によって、歴史的な風景を守りながら都市的な利便性をアップデートし、地方が優位性を持つ新しい社会に導きます。特に近隣住区と同規模の人口5,000人程度のコミュニティーは大きな可能性を持っているといえるでしょう。この人口規模は社会的インパクトを持ちながら、情報技術や自動運転、経済システムや働き方などのイノベーションに対して敏感に反応します。
町内の主要道路に面する「HIKOBE」は、本計画周辺をつなぐだけでなく、村全体にモノ・コト・ヒトの流れを生むmicro public networkの中心拠点と位置付けています。町外にもプレゼンスを発揮するBABAME BACEやSHARE VILLAGEといった主要施設と連携したmicro public networkの構築と、モノ・コト・ヒトの活性化を目指しています。
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建築設計SUGAWARADAISUKE建築事務所 (担当:菅原大輔、山本明弥香)
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構造yasuhirokaneda STRUCTURE (担当:金田泰裕)
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照明計画灯デザイン(早川亜紀)
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施工藤井工務店(担当:藤井好春)
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写真Photo Office-K(コンドウ ダイスケ) / ドローン写真:SUGAWARADAISUKE建築事務所
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場所秋田、日本
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設計期間2017.09-2017.12
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工事期間2018.01-2018.03
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Website
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Website
2020 日本建築学会作品選集2020年(主催:日本建築学会)/ 日本
2019地域発!つながる・集める施設のデザイン(出版:パイ インターナショナル) / 日本
2019建築ジャーナル 2019 08 / 日本
2019BauNetz / ドイツ
2019iF DESIGN AWARD 2019 / ドイツ
2018AECCafe / 米国
2018JDN / 日本
2018ArchDaily / チリ
2018HYPEBEAST / 香港
2018Building Indonesia / インドネシア
2018SeriouslyArchitecture / 米国
2018Gooood / 中国
2018archello / オランダ
2018architecturephoto / 日本
2018AXIS web magazine / 日本
2018朝日新聞 / 日本
2018秋田魁新報 / 日本